工房訪問記 1.工房『ikkok』を訪ねて

 
 

 

まだまだ暑い  夏の終わり、
緑深い静かな杉の森を背に建つ工房には蝉の声が響きわたっていました。

ちょっと色あせたターコイズブルーの戸を開けて
工房に一歩足を踏み入れると

そこには、
ここにしかない、
ここでしか見ることのできない景色が広がっています。

窓の向こうの緑に  揺れる風、

時々動かされる机や椅子、壁に描かれた絵の一つ一つ、

作りかけの動物や人物、
オブジェや器。
 まだ得体の知れない土のかたまり、   削りかけの粘土の一片一片。

それぞれが命をもって    語りかけてくるように  こちらを見ながら  並んでいたり、転がっていたりします。

 

 

 

 


あふれ出る 物語の現場を目撃してしまったかのような興奮と  ワクワク感を感じながら、
いつも不思議に思っていたことを聞いてみる。

「どこから  この作品達が生まれてくるんですか?」と。

「今回の展示会のタイトル
Scope  へのお二人のそれぞれの思いはどういうものですか?」と。


この現場で聞く言葉の一言一言が心に染みてきて、
いつの間にか  その空想の物語の中に入り込んでしまうかのように  どんどんその世界観が伝わってくる。


「良い時間だったなー」と
取材できた喜びを感じながら、
  取材に協力していただいたお二人への感謝の思いと
 余韻を残しながら、
そこにあるすべてのものに  
手を降る。

そして、

私は、
二人の中から生まれる一つ一つの作品を  どう受け止め、
どう伝えていこうかと、
私なりの「Scope」に  思いを廻らしている。

                 YO.
 
2020,8/17