石原稔久 個展 「気配」

 

「朗読喫茶」を終えて




 

石原稔久という陶芸作家が多才であることはこれまでの出会いのなかで何かに触れ よーく知っていました。

 

 



 

今回、個展の打合せで工房に伺った時に
「晴ちゃんと「朗読喫茶」をやりたいね。と話しているんです。 YO さん  どうですか?」

「あー いいね、凄く良さそう。是非お願いします。」


そんな話からこの「朗読喫茶」が始まりました。

 

これまでもいろいろな冊子や、nice thingsに連載中の

「うつろ」のなかでも彼の物語の世界に触れ、いくつもの物語を読んでいましたが、
作家自身がこの会のために書き下ろした物語を
作家自身が朗読してくれる。
こんな機会はなかなかない
もちろん これ以上の朗読者はいない。

 

 

 

 

 

 


 

準備は整い
テーブルには作家のカップや皿が並び、
相方の晴ちゃんと
お茶をいれ、手作りのお菓子を出し、
珈琲をいれながら、
ほぼ10編の物語や詩を交互に読んでくれる。

 




晴ちゃんのそう高くはないが透き通る落ち着いた声と
作家の言葉の一つ一つが心に浸みてくる。

実話のような話と創造の世界が入り交じった物語に
引き込まれていく、
想像が膨らみ、
胸が熱くなり、
目頭も熱くなる。

 



 

 

 

 

 

 

傍には彫刻のシカやブタやフクロウたちもいて、
動物たちも一緒に聴いている。



ふと窓の外を見あげると

秋の日差しと
気持ち良さそうに揺れる木々の葉や風の音。
まるでこの物語を一緒に聴いているかのように
さわさわと揺れている。

 


 

その景色も
そこにいる人達も
器も彫刻も
この空間の全てのものが その「気配」を纒って
温かさがじんわりと満ち満ちてくる。


豊かなひととき.
幸せないい時間でした。



展示会は
たくさんの作品を作ることだけでも大変な作業です。
おそらく石原さんはこの朗読会のためにそれと同じくらいのエネルギーと想いを注いでくれたに違いない。



ふと思い出していました。

10年程前
私がこの場所でギャラリーを始めると決めた時、
ある展示会で作家の温かな動物彫刻や器たちを初めて見て  一瞬に心がほっこり温かくなり、

「これから 佐賀でギャラリーを始めようと思っているんです。オープンしたら 是非 展示会を開催していただけませんか。」

初めてお声をかけ、最初にお願いした作家さんでした。


そして 三度目の展示会

「あー、あの出会いがあってほんとに良かった。」




 

きっと また 優しさのかたまりのような石原さんに
会えることでしょう。



その時は
また、あの新作落語「おまけ」や
この展示会の表題「気配」を聴きたい。 


その日を
心待ちにしています。

 

石原稔久さん、 @1480toshihisa
山本晴子さん、 @harucoyamamoto

この展示会を心に残る より濃くより深く温かいものにしてくださって本当にありがとうございました。


ご参加頂きました皆様 ありがとうございました。


皆様に心より感謝いたします。



              2024. 10 .14.                

               乙守容子